2年間ママチャリなしで暮らしてみた

別に佐賀や神戸に住んでいるわけではない。坂のない平地に暮らすこと2年間、ママチャリを買わずに生活してみた。

スーパーに行くにも30分ほどかけて歩いていく。何をするにも徒歩、徒歩、徒歩。自宅からいちばん近いスターバックスコーヒーまで40分の道のりをゆっくりと歩く。

自転車に頼らず、自分の足で歩いてみると、街の景色はまた違って見える。季節ごとに移り変わる草木を感じたり、ゆっくり考えごとをしたり。自転車を捨てるだけでこんな穏やかな時間が過ごせるなんて思っていなかった。

 

……なんてことは、ない。

ふつうに自転車を買うべきだ。歩きたいなら特別にその時間を作ったらいい。重たい買い物袋を片手に真夏に真冬に歩く必要性は全くない。ふと遠くにきれいな景色が見えたって、寄り道する体力がごっそり削られている。何より、行動範囲が非常に狭い。ちょっと近くまで行こうかな、と思っても先にめんどくさくなってしまうから気持ちの上でもよろしくない。物理的にも心理的にも行動範囲が狭まっていく2年間だった。なんでもっと早く自転車を買わなかったのか。

日本列島では1960年代以降、急速にママチャリが普及したという。そりゃ普及するわ。みんな、引っ越しをしたらすぐにママチャリを買おうな。