世論調査リテラシー:新聞読み比べ
「改憲賛成/反対が増えている!」と新聞に書いてあると、「そうか、世間のみなさんも賛成/反対なんだな、ふむふむ」と無意識のうちに受け止めがちですが、実際はどうなのでしょうか?
そこで、各新聞の世論調査を見てみましょう。
見出し→引用→URLの順にコピペします。
(1)日本経済新聞(賛45:反46)
本社世論調査 憲法改正、賛否が拮抗
施行70年、改憲支持伸びる
憲法改正(総合2面きょうのことば)について「現状のままでよい」が46%、「改正すべきだ」が45%で拮抗した。
昨年4月の調査と比べると、現状維持が4ポイント減って改憲支持が5ポイント増え、その差が縮まった。
http://mw.nikkei.com/sp/#!/article/DGKKASFS02H1S_S7A500C1MM8000/
(2)毎日新聞(賛48:反33)
改憲に賛成48%、9条改正反対46%
憲法を改正すべきだと「思う」という回答は48%、「思わない」は33%だった。
昨年4月の調査では、憲法を改正すべきだと「思う」と「思わない」が42%で並んでいた。今回は「憲法の施行から70年にあたる」と明示したうえで質問したため、単純には比較できない。
https://mainichi.jp/articles/20170503/k00/00m/040/195000c
(3)朝日新聞(賛41:反55)
憲法を「変える必要はない」は50%(昨年調査は55%)に対し、「変える必要がある」は41%(同37%)だった。
新たに有権者となった18~19歳も今回から調査対象としたため、過去との単純な比較はできないが、14年調査から4年連続で憲法を「変える必要はない」が「変える必要がある」を上回った。ただ、その差はやや縮まった。
https://www.asahi.com/amp/articles/ASK4L528LK4LUZPS004.html
(4)読売新聞(賛49:反49)
施行70年、憲法の役割「評価」89%
憲法を「改正する方がよい」との回答は49%、「改正しない方がよい」は49%で、賛否が拮抗した。
前回調査(2016年1~2月)は「する方がよい」49%、「しない方がよい」50%で、大きな変化はなかった。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/TO000302/20170428-OYT1T50166.html
(5)産経新聞(賛52.9:反39.5)
改憲機運再上昇 11月に続き「賛成」52・9%
憲法改正に「賛成」と答えた人は52・9%だった。昨年11月に続いて過半数となり、憲法施行70年を前に改憲機運の高まりを裏付けた。「反対」は39・5%だった。
https://www.google.co.jp/amp/www.sankei.com/politics/amp/170417/plt1704170031-a.html
いかがだったでしょうか?
世論調査というと、「世間の考え」と見なしがちですが、その「世間」は切り取り方によって変わるものです。
賛否の割合は、各社によって大きく異なります。
●賛成が多い:毎日、産経
●賛否拮抗:日経、読売
●反対が多い:朝日
見出しのつけ方にも、日経と産経が「改憲支持が伸びている」ということを明記しているのに対して、朝日と読売は「今の憲法が支持されている」と書いています。それぞれの新聞社の改憲への姿勢が露出しています。
このように、「世論調査では〜」と言われると、「そうか、みんなもそう考えているのか」と思い込みがちですが、その「みんな」はメディアが作り出した「みんな」であることを忘れないようにしたいですね。
はい、社会科の授業でした〜。