12月のたそがれ

その空がいちばんきれい。

ユングと悪口

興味がある、といってもアカデミックにとはいえないのだが、私はユング(1875-1961)の考えが好きだ。正確に言えば、河合隼雄の著作を通じて知ったユングが好きだ。

 

ユング心理学入門―“心理療法”コレクション〈1〉 (岩波現代文庫)

ユング心理学入門―“心理療法”コレクション〈1〉 (岩波現代文庫)

 

ユングは、人間の心を理解するために、自らの臨床経験から、性向の類型化を行なった。LINEやFacebookで見かける「性格診断」の類は、ユング心理学のなれのはての姿とも言える。

今回は、ユングが設定した類型を判別する1つの材料に、悪口が絡んでいるのではないか、というお話である。

ユングは、まず、「外向」と「内向」という2つの仕切りを設けた。

外向とは、自らの心の内部よりもむしろ外部に関心の中心があるタイプを指す。概して言えば社交的な性格といえる。精神疾患を発症するとしたら、ヒステリーを起こす。それだけ周囲が気になってしまう、ということだ。

内向とは、外部よりも内部に関心を寄せるタイプを指す。概して言えば、内省的な性格。精神疾患を発症するとしたら、神経衰弱になる。自らの内側の想念がぶつかりあい、消耗してしまうのだ。

これが第一の仕切り。このうえに、独立した4つの象限がある。

物事を判断する軸と、判断する以前に知覚する軸。この両軸が垂直に交わっている。

判断には、「好悪」と「因果」という異なるタイプがある。目の前の置物を見て、「かわいい」と思うか、「これは何で作られているのだろう」と考えるか。前者を感情型、後者を思考型という。

知覚は、感覚型と直観型に分かれる。置物の例でいえば、感覚型の人間はその滑らかな曲線に関心を寄せ、直観型の人間は置物をきっかけにして、置物とは全く関係のないヒラメキを起こす。

この4類型の分け方のうち、自らがどこに位置するのか。言い換えれば、最も重きを置いている力は何であるのか。

これを調べるために心理テストで何問も問題を解くわけだが、最近思うに、それは、人が頻繁に使う悪口を聞けばある程度わかるのではないだろうか。

というのは、私の友人の「最低の悪口」は、バカでもアホでもなく、「気持ち悪い」なのだ。音楽や絵画の才能がずば抜けていることを思いあわせると、この友人はおそらく感覚型だろう。少なくとも私は、「気持ち悪い」を悪口として他人に用いることはあまりないし、それが最低の悪口とは全く思わない。

私にとっての最低の悪口は、大きな声では言えないけれど、「理解できない」「頭悪いな」だ。ここまで書いてきてその通りだと思うが、私は思考型。もし「嫌い!」と来れば感情型だろう。

悪口は、自らの価値観の表明でもある。なるべくなら、別の手段を通して知りたいものだ。

 

唯一、直観型の悪口はなかなか思い至らない。周りに直観型の人間が少ないせいもあるだろうし、そもそも私のユング心理学への理解が最も及ばない領域でもあるため、ここは謎のままだ。