12月のたそがれ

その空がいちばんきれい。

祭りと私

小さい頃から祭りが嫌いだ。
ただでさえ歩きにくい下駄を履かされたうえに砂利道なんて歩くから、足がすぐに砂ぼこりでいっぱいになる。
人混みをかき分けて動かなきゃいけないのに、親や友達はぐんぐん先に進んでしまう。
そのうえ、すずめの涙ほどのお小遣いでは、当然のことながら、真っ赤なりんご飴やきらきら光るおもちゃの腕輪なんて買えない。チョコバナナの屋台でじゃんけんなんて、夢のまた夢だ。
それでも金魚すくいはやった。スイミーみたいな黒い金魚や、ひれの大きな赤い金魚は取れなかったけれど、普通の、どこにでもいるようなやつなら、不器用な私でも大丈夫だった。
家に帰って水槽に入れて、すぐに死んじゃうのもいたけど、五年も生きたやつもいた。死ぬたびに、アパートの植え込みにそっと埋めて、なるべく平べったい石を選んで墓のしるしとした。

比較的たのしい思い出もあるにはあるのだが、祭りというとどうしても好きになれない。祭りは嫌い。

いや、嫌い、というより、不安、というのが本当のところだ。
一人世界から取り残されたような焦燥感と孤独感。周りはいつもと違って人がやたらと多く、しかもみんな変に陽気だ。
いつもと違う、ささやかな日常の調和が失われていくさまが、恐ろしい。

だから、遊園地に行くのも、実はあまり好きではない。
周りは楽しんでいればいるほど、どんどん怖くなってくる。

実に、損な性格である。